_夏山登山道に入りアイゼンをつける。3合目を過ぎる辺りから雪深く急登となる。何度か積雪に足を取られブナの木に掴み、流れる汗を拭く。5合目を過ぎたあたりから、さらに登りがきつく息が弾む。12時15分やっと6合目、小休止。
_団体らしき一団が賑やかに降りてくる。さすがに百名山。冬山でも登山者が多い。殆どの登山者がピッケルを持っている。この山でピッケルいるのかな?
_6合目を過ぎると樹木は積雪で跡形もなく、ひたすら雪の急斜面を登る。振り返ると高度観に緊張感が増す。ピッケルがあれば楽に登れそうだ。やはりピッケルはあったほうがいいな!。さらに登っていくと、降りてくる登山者も少なくなり、時々ガスが視界を遮る。心細さと息絶え絶えの登攀にたまりかね、すれ違う下山者に「頂上はまだまだですか」と尋ねる。「ここは一番きついところです。もう少し続きますよ」
_やがて急登も過ぎ雪に埋もれた木道を歩く。頂上小屋はまだかな。
頂上小屋
_頂上小屋に着く。 強風でガス強く、小屋は二階まで雪に埋もっていた。入り口を探すが一階は雪に埋もれて使用不能。建物の二階の窓に向けて踏み跡がある。ここが入り口らしい。狭い窓からのぞき込むと階下へおりる鉄梯子があった。
_窓から梯子を伝い一階に降りる。暗闇の中に人の声。13時半ストーブをセットし遅い昼食。いつも乍ら「ホッ」とするときだ。目が慣れてくると直ぐ横に2人。そのほかにも5、6人いました 。
大山鋭鋒
_昼食を済ませ頂上に向かう。一面真っ白いガスで視界無し、残念だ。暫く待つと、突然強風にあおられガスが切れる。雲間から青い空。鋭鋒大山が浮かび上がる。雪の急斜面を喘ぎ喘ぎ登ってきた成果ここにありと歓ぶ。
下山開始 山頂に立った満足感の余韻を味わいながら下山を開始する。
大山北壁 下山途中の6号目では、登攀時には見えなかった大山北壁が雄大なその様相を顕す。
楽しい下山
_急斜面に踵で雪を押しながら、時には尻もちをつき、時には膝を丸め滑り降りる。雪と戯れ楽しい下山。苦しい登攀を忘れさせる。
登山開始10時20分 山頂13時15分 下山16時15分 登山行程 5時間45分
参考 エリアマップ 「山と高原地図61大山蒜山高原解説書」より抜粋 <冬の大山> 日本海から、わずか14、5Kmの所に迫る独立峰のため、気節風を受け、気象の変化の厳しい冬の登山は、特に周到な準備と、経験 者のリーダーを必要とする。最良の気象条件による一般コースとしては、夏山登山口より頂上を極めて下ることである。踏み跡があれば所要時間は大差ない。しかし、降雪後であればラッセルは厳しく、倍以上の時間が必要と考えたい。天候がよければ六合目あたりから白く屹立した三鈷峰が水晶のように見えてくる。六合目から上は風が強くなり斜面も急になる。防風対策をしっかりし、不安があればアイゼンをつけ、状況によっては勇気を持って引き返すことも必要だ。八合目から上の頂上一帯は何の目印もない広い台地のため、ガスの中では一面ホワイトアウトの異次元の世界となるので悪天候下では最大限の集中力と判断が要求される。なお、年によっては項上小屋はすっかり埋れ、ポールを頼りに堀り出すことになる。入口は項上側の側
写真は2回の大山登攀時に撮ったものを混在させています。