4年振りの登山。北アルプスは実に6年ぶり。一抹の不安を胸に今回の登山に望む。
_5月1日早朝5時、自宅を出発。新穂高ロープウエイの新穂高温泉駅から西穂高口駅へ。11時52分着。早速、展望デッキに出る。快晴の青空、錫杖岳、焼岳、笠が岳、西穂高岳がくっきりと見える。最高の登山日よりとなった。
_昼食後、12時半頃、アイゼン、スパッツを装着し西穂高口駅を出発。久し振りに雪の登山道を踏みしめる。その感触を楽しみながら西穂高山荘へ息を弾ます。
_14時、西穂高山荘着。心配していた脚もバテることなくいたって健在。まずまずの出だしだ。これなら、今後も山に挑戦できると自信を深める。
_チェックインを済ませ山荘前の広場へ出る。上高地からそびえ立つ雪化粧の霞沢岳が美しい。
_丸山までカメラを携え登る。二峰連なる笠ヶ岳、うっすらと蒸気立ち上る活火山の焼岳、遠くには威風堂々と横たわる乗鞍岳。360度の展望が非日常的な世界へ誘う。改めて自然の雄大さに感動する。思い切ってここまで来て良かった。
_5月2日 アイゼンを装着し6時30分山荘出発、丸山から先は霧に包まれ視界不良。予想外の寒さに戸惑う。耳がちぎれそうだ。
_出発前日、西穂高山荘事務所に電話を入れ確認したが、「今は殆ど雪はなく、山肌が露出している。最低気温はマイナス8度、最高気温は10度前後」との答えだった。これなら、山荘から独標2701mまでは寒さ対策に配慮すれば充分だろうと、カッパも持たずピッケルも持たず、カメラ道具とバーナー一式をリュックに。これがとんでもない間違いであった。風対策無防備であった。
_山道は雪に埋もれて見えず、おまけに霧で周囲は真っ白。吹き付ける冷たい風に耐えながらアイゼンの爪を頼りに雪の急斜面を登る。西穂高山荘事務所に電話を入れ確認したことと大変な違い。山の天気は日ごとに変わることを肝に銘じる。
_急斜面をやり過ごした頃、やっと風も収まり霧も晴れる。前方を見ると穂高岳山系の美しくも勇壮な山容が姿を現す。目的地の独標は近い。
_独標直下までは岩場を巻く必要がある。岩場は雪がまとわりつき、足下は切れ落ちた崖。三点支持で慎重に足を運ぶ。緊張感で生きてる実感。
_独標直下からは、登山靴の幅しかない段差に足を置かなければならないところもあり。おまけにその足場に雪が積もり、雪の下が岩なのか、ガレ場なのか、土なのか、全く不明。登山靴に体重の乗せるのもおぼつかない。手で掴める岩を慎重に当たりながら、「落ちたらおしまい」と上へ上へ。
_山頂に立つ。風もなく頭上は晴れ渡り、雪をかぶった穂高の山容が眼前にあり。全方位遮るもののない雲上の世界。
「今日のお客さんは最高です。昨日は吹雪で大変でしたよ」とは山小屋のスタッフの話でした。