新日本海フェリー

_自宅を20時58分出発。間もなくETCカードのセットを忘れたことに気付く。R477の国道脇にバイクを止め、薄暗い明かりの下、荷物の再セットに手間取り出鼻をくじかれる。
_R9号の夜道を快調に走る。F700GS、少々の凸凹路面も感じさせない乗用車のような乗り心地。エンデューロ仕様のフォークストロークの長いおかげか?
_舞鶴東ICを出てすぐ燃料の残量警告灯が点灯。夜遅いためGSが見つからない。もうすぐフェリー乗り場だ。北海道の小樽で給油かと思うが、小樽着が21時過ぎ。GSが営業してるだろうかと案じていると、突然、真っ暗な国道に光々と輝くENEOSスタンド。

_23時過ぎ舞鶴の新日本海フェリー乗り場着。乗船待機場所にはすでにバイクが10台そこそこ並んでいた。一番後ろにバイク止め乗船待ち。列の中に大きなケースを積んだ懐かしいカブが2台いた。
_待機中に、ドカテイDiavelの中年ライダーに声をかけた。「どちらに」「一週間ほどかけて道北方面へと思っています」「お泊まりは?」「初めての北海道なので旅館等を予約しています」「私は旅館等を予約すれば宿泊地に拘束されるので、キャンプ中心で行こうかと。そうはいってもキャンプツーリング初心者なんですが(笑)」「私のバイクは荷物もそんなに積めないので」「そうですね、小樽に着いたらどうされるんですか」「友達が札幌に居るので、まずそこに泊まらせて貰ってスタートです」
_彼は、初めての北海道、不安と期待を胸一杯に膨らませていたようだった。その様子を見て、”不安と期待!”、お互いそれが楽しみなんだなあと思った。話題も一段落ついた頃、乗船の案内。乗船後、Diavelの彼は自宅の妻に「無事乗った」と電話を入れていた。

小樽へ 1st day
_フェリー内では、寝たり、ビールを飲んだり、日記を書いたり、デッキに出たり、今日明日の北海道の天気予報を調べたり、退屈せずに過ごせた。新日本海フェリーはこれで3回目だ。最初は退屈しきりだったが旅慣れてきたかな?。先ほどの天気予報によると大阪は大雨らしい。留守番の愛犬、大丈夫かなあ?

_「現在、北海道岩内沖航行中」と船内放送がある。窓越しに外を見ると、曇り空から時々日が射す。この辺りから携帯の電波が届く。もうすぐ18時、夕食の案内がありレストランへ行ってみると、団体客が押し寄せ入り口の外まで並んでいた。こんな光景は初めてだ。食事を終え、船室の窓から陸のあかりを探す。暗闇の海上に光々と輝く漁火が見えた。

_フェリーは20時45分定刻どおり小樽港着。天候曇り時々小雨。予約の宿「おたる北運河かもめや」に少し迷って21時過ぎ到着。予想していたことだが、今回のフェリーは、海上を滑っているような穏やかな航行だった。冬と大変な違いだ。

 

洞爺温泉へ 2nd day

美国町

_朝、野天駐車場のバイクを見にいくと雨に濡れていた。「おたる北運河かもめや」の女将に「カッコいいですよ」と見送られ、9時20分北海道小樽をスタート。
_R299で積丹半島へ向けて出発。まずは積丹郡積丹美国町の黄金岬とやらを見学しようと行ってみたが、案内看板の先は草ぼうぼう。その横には廃家。黄金岬はあっさりカットし美国町の水中展望船ニューしゃこたん号の発着港へ。発着所は閑散とし、のぼり旗がせわしく風になびいてた。

美国町の水中展望船ニューしゃこたん号の発着場

神威岬

_R299から積丹岬方面の道道913号に入る。国道を離れると車もほとんど無く完全舗装の快走路。くたびれた積丹岬の案内看板が見えた。「ここが積丹岬か」寂れてるなあという印象。積丹岬の尖端までは徒歩らしいが、今回は先を急ぐのでカットし神威岬へ。

R229を神威岬へ

_神威岬は、訪れる人も多いようで土産物店もあって立派な大駐車場もある。バイクを停めていると、隣りにハイエースバンが駐車。ひとり旅のようで、私とほぼ同年配だと思われるひとに声をかけられた。
_「大阪からバイクですか」「そうです。どこから来られたんですか」「大阪の大東市から、北海道に来てもう五日目です。二十日ぐらい居る予定です」「そうですか。しっかり儲けて余裕の人生ですなあ」「お宅こそ」お互い笑って返事を返した。


「岬の突端まで長いですよ。足が疲れますよ」の声を背に、神威岬遊歩道へ。のんびり歩いて神威岬の突端に。「来てよかった」と何枚も写真を撮る。彼が云うほど大変ではなかった。ひょっとして彼は運動不足かも・・・

神威岬

神威岬

ニセコパノラマライン

_13時前、ニセコパノラマラインへの分岐点岩内に入る。道の駅いわないに立ち寄り焼き魚専門店へ。「お勧めは」と店員に尋ねると「焼き魚定食」を勧められ、それとタコ刺し200円を注文。
_13時半ごろ店を出て道道66号ニセコパノラマラインへ。小雨と深いキリで視界悪し。閑散としていた神仙沼自然休養林駐車場にバイクを停める。駐車場から木道を歩いて20分位で神仙沼らしいが、写真だけ撮って早々に退散。

神仙沼への入り口

_景色も霧雨に失せ、濡れた路面のワイディングをただただスピードを殺し進むのみ。楽しみにしていたルートだが台無しだ。JRニセコ駅で記念撮影。道道66号で一路留寿都へ。

JRニセコ駅にて

見えるはずの羊蹄山も影も形も無し。留寿都村に入って雨はやんだが晴れず。

晴れた日の羊蹄山、ウインザーホテルの駐車場にて 2013.5

本日の宿は
キャンプ?

_いよいよ慣れないキャンプの準備。地図を開きセイコーマートの場所を確認。夕食の弁当、ビール、酒の肴を仕入れ、仲洞爺キャンプ場16時着。案内看板に指定された日帰り温泉来夢人の家(うすきむんどの家)にキャンプ場の申し込みに行く。え〜、今日は休みだって・・・強行突破でテントを張ろうかと適当な場所を探すも、雨のせいで湿った地面は居心地悪そう。結局キャンプは中止し、あらかじめ調べておいた洞爺湖温泉街のライダーハウスを併設している大和旅館に行くことにした。

_大和旅館17時前着。受付で岩城滉一に似たご主人に「バイクで来ましたが宿泊できますか」「1380円です。六人部屋ですが今のところひとりですよ」あまりに安いので不安になり、「普通の部屋空いてませんか」、滉一さんは予約状況をチェックし「今日は満室です」

_バイクを指定された場所に停め、荷物を持って案内された部屋に入る。小汚く見える寝具が無造作に部屋の端に積まれていた。清潔そうな寝具を確保し風呂に向かう。風呂は源泉掛け流しで云うことなし。このまま誰も来なかったら六人部屋独り占めでラッキーだなと思う。

_ひと風呂浴びたがまだ外は明るい。近辺を散策してみようと、旅館の下駄を引っ掛け外に出る。入れ違いにひとりのバイカーとすれ違う。どんなバイクで来たんだろうと駐車場を見てみるとBMW650GSだった。
_同室者が居ることになった。BM乗り同士で話も弾むかも。少々期待もしてカランコロンと下駄の音も軽やかに坂を下って洞爺湖畔の温泉街に。美味しそうなラーメン屋を見つけ、即座に夕食はここでと決めた。セイコマで買ったキャンプ用の弁当は明日の朝食に回すことにした。

_部屋に戻ってみると他の人の荷物が置いてあった。てっきり先ほどのGS乗りかと思いきや、千歳空港から自転車で来たという東京在住の若いチャリダーだった。彼は「大学時代、ワンゲルで鍛えたと云えばカッコ良いのですが、肉体を酷使したというのが正しいかも」と手慣れた手つきで足を丹念にマッサージ。転職の間隙を利用して北海道に来たと言う。

_「明日は何処まで行かれんるんですか」「函館まで行くので早朝に出発します」「起きたら声をかけて」とお願いする。「すごく早いですよ」と彼は微笑んで答えた。「天気も芳しくないので、予定を早め一気に襟裳岬まで行こうかと思ってるので」とお願いした。それにしても自転車ツーは早起き、脚力勝負で大変だなあと感心。彼の旅は、行けるところまで行って適当に寝袋に入るらしい。

_明日の行程の天気予報は雨のち曇り、18時頃から晴れ。日高街道は霧が発生しやすいとの情報も得ていた。この天気では、今日の午後のニセコパノラマラインの二の舞になりかねない。それなら私も早起きして行ける処まで行こう・・・

_同室のチャリダーが20時から湖上花火があると云う。開始時刻に行ってみると、観光客がすでにそこかしこに集まっていた。湖上に打ち上げられた花火が、ひとり旅に彩りを添えてくれた。

洞爺湖の花火

本日の走行距離 220km

 

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